顔面神経麻痺は顔面神経の走行中に種々の原因により神経の伝達が途絶えてしまい顔面部に麻痺が発生するもので、中枢性障害と末梢性障害の二つに分けられます。
鍼灸治療においては特に「末梢性」に効果が得られやすいです。
●末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺・特発性顔面神経麻痺)
{特徴}
・原因不明で突然発症する一側性の全表情筋弛緩性麻痺
・顔面麻痺の中で最も多い(60%~75%)
・老若男女問わず発症(40歳代がピーク)
{症状}
・ベル現象(まばたきが困難)による目の充血
・おでこのシワ寄せ不能
・口角が下がる
・麻痺側の鼻唇溝消失
・口すぼめが不能(口笛が吹けない)
・食べ物が麻痺側口中に溜まる
・味覚聴覚の障害、唾液や涙の分泌低下
{鍼灸治療}
①血流を良好にして顔面筋の委縮防止と神経機能の回復促進
②回復が遅れている筋肉を中心に施術
{現代医学的治療}
基本的には保存療法
①急性期:ステロイド治療、抗ヘルペスウイルス薬治療・ビタミンB製剤(血管拡張作用)・血管拡張剤
②保存治療に反応せず麻痺が強い場合は顔面神経減圧の為の手術
③後遺症に対する治療はボツリヌス毒素治療法など
一例ではありますが、60代男性患者様は初期に病院を受診され投薬治療後に当院を受診。初回ご来院時は上記症状が明確にありましたが、病院での治療と週1回の鍼灸治療の併用し1ヶ月程度で9割症状が改善した方もいらっしゃいます。
顔面神経麻痺は治療開始時期が予後に大きく左右します。
症状が現れたら絶対に放置せず医療機関へ早期受診をしてください。
現代医学治療と鍼灸治療を同時に行う方法をぜひご検討下さい。
{鍼灸治療で使う経穴(ツボ)の一例}
経穴名 筋肉名:働き
①陽白 ・・・前頭筋:おでこにシワを寄せる
②瞳子髎・・・眼輪筋:瞼を閉じる
③巨髎 ・・・小頬骨筋:上唇の引き上げ
④地倉 ・・・口輪筋:口を閉じたり、すぼめる
⑤承奬 ・・・口輪筋:下唇を引き下げる
